複合機×クラウド連携で実現可能な機能や導入メリットなど解説!
業務の効率化が企業の成長を左右する時代、オフィスの中心にある複合機も大きく進化しています。
コピーや印刷だけにとどまらず、クラウドサービスと連携することで、複合機は情報共有と業務フローの要になっています。
スキャンした資料をクラウドへ直接保存したり外出先から印刷指示を出したりと、働き方を柔軟に支える機能が満載です。
FAXの自動デジタル化などもその一例です。
本記事では、そんな複合機とクラウド連携についての仕組みやメリット、導入時のポイントまでを解説しています。
今のオフィス環境に、少しでも変化を求める方に役立つ内容をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
複合機のクラウド連携とは?
複合機のクラウド連携とは、オフィスにある複合機とクラウドストレージや業務アプリなどを直接つなぎ、データや機能を相互に活用できるようにする仕組みを指します。
従来の複合機では、パソコンを経由したりUSBメモリを使ったりしてデータを扱うのが一般的でした。
クラウドとつながることで、物理的な媒体や端末に依存せず、インターネットさえあればどこからでも情報をやり取りできるようになります。
この連携によって、オフィスの「場所」という制約が薄れ、柔軟な働き方が可能になります。
複合機は紙とデジタルの橋渡し役として、スキャンした書類をクラウドに保存し、どこからでも閲覧・共有・編集できる環境を構築できるのです。
連携先としては、Google DriveやDropbox、OneDrive、Box、SharePoint Onlineといったクラウドストレージのほか、TeamsやSlackなどの業務ツール、さらには経費精算や会計システムなども含まれます。
複合機とクラウドの連携は単なる利便性の向上にとどまりません。業務全体をデジタル化し、効率的なワークフローを築くための重要な投資と言えるでしょう。
複合機とのクラウド連携で実現できる主な機能とは?
複合機がクラウドと連携することで、機能的にも拡張されて使いやすくなります。
ここでは、業務で役立つ代表的な機能を下記にまとめました。
- スキャンデータのクラウド直接保存
- クラウドからの直接印刷
- FAX受信データの自動クラウド保存・通知
- どこからでもデータにアクセス・閲覧・編集
- ICカードなどその他の拡張機能
詳しくみていきましょう。
『スキャンデータのクラウド直接保存』
クラウド連携のなかでも、スキャンデータを直接クラウドに保存できる機能は業務的にみても実用的な機能です。
従来のようにパソコンやUSBを介さず、スキャンした書類をそのままGoogle DriveやOneDrive、Dropboxなどのストレージへ送信可能になります。
パソコンを立ち上げる必要がないため、スキャン後すぐ次の業務に移れて作業が滞りません。
保存されたデータはクラウド上で管理されるため、外出先や自宅でもスマートフォンやタブレットからアクセスでき、出張中の社員ともスムーズに情報共有が行えます。
国土交通省の令和5年度テレワーク人口実態調査によるとコロナ禍をきっかけに令和5年度で7割を超えるなど、テレワークが広がるなか、この機能は業務のスピードと柔軟性を高めるうえで欠かせない存在になりつつあります。
『クラウドからの直接印刷』
クラウド保存と並んで便利なのが、クラウドからの直接印刷機能です。
パソコンを立ち上げることなく、クラウド上にある文書や画像を複合機のパネルから直接選んで印刷できます。
わざわざ自席に戻る手間もなく、急ぎの資料が必要な場面でもその場で印刷を完結できる点が大きなメリットです。
また、スマートフォンやタブレットからクラウドにアクセスし、そのまま複合機へ印刷指示を出すことも可能。移動中にチェックしたファイルを、オフィスに着いた瞬間にすぐ印刷するといった使い方も現実的です。
作業時間の短縮だけでなく、業務全体の流れもスムーズに整えられます。
『FAX受信データの自動クラウド保存・通知』
いまだ多くの現場で使われているFAXですが、紙でのやり取りは管理も手間もかかります。
クラウド連携型の複合機を導入すれば、FAXで受信したデータは自動でデジタル化され、指定したクラウドストレージに保存されます。
同時に、担当者にメールやチャットツール(Microsoft Teamsなど)で通知を送る設定も可能です。
用紙やトナーの消費も減り、FAX機専用の回線さえ不要になる場合もあります。
環境負荷の軽減につながるうえ、オフィスに戻らなくてもスマホやパソコンで受信内容を確認できます。
重要な連絡を見落とさず、スピーディーな対応ができる点は、大きな強みです。
『どこからでもデータにアクセス・閲覧・編集』
クラウドに保存されたデータは、複合機の機能というより、クラウドサービスの力と複合機の連携によって得られる利便性の一つです。
ファイルが一度クラウド上にアップロードされれば、インターネット環境さえあれば、時間や場所を選ばずアクセスが可能になります。
パソコン、スマートフォン、タブレットなど、使う端末も問いません。
資料の閲覧や編集もすぐに行えます。
この仕組みにより、拠点間での連携やテレワークでも情報共有がスムーズになります。
メール添付による容量制限や、ファイルのバージョンが分からなくなるような手間からも解放されるのです。
『その他の拡張機能』
クラウド連携複合機は、基本機能にとどまらず、さまざまな拡張が可能です。
例えば、操作パネルからWebアプリへ直接アクセスし、簡易な操作を済ませられる機能も搭載されています。
さらに、ICカードや指紋認証との連携により、本人確認を経て初めて印刷やスキャンを実行できるようにするなど、セキュリティ面の強化にもつながります。
また、クラウド上で利用履歴を一元管理できる仕組みもあり、誰がいつ、何を出力したかが明確になりやすいです。
印刷コストの把握や内部統制、監査対策にも役立つのです。
複合機×クラウド連携がもたらすメリットとは?
複合機とクラウド連携は、単なる利便性の向上にとどまらず、企業経営に多岐にわたるメリットをもたらします。
ここでは、特に重要なメリットをまとめました。
- 業務効率の向上
- コスト削減とペーパーレス化の推進
- 多様な働き方への対応(テレワーク・ハイブリッドワーク)
- セキュリティ強化
詳しくみていきましょう。
『 業務効率の大幅な向上』
クラウド連携による大きなメリットのひとつが、業務の効率化です。
スキャンした紙書類は、即座にクラウドに保存され、パソコン操作やファイル移動の手間が不要になります。
デジタル化された文書はすぐに共有可能なため、情報伝達が迅速になり、意思決定のスピードも向上。クラウドに一元管理されたデータは、キーワード検索やタグを使えば一瞬で探し出せます。
もう、キャビネットや煩雑なフォルダ構成を開いて探す必要はありません。
FAX業務もクラウド化されれば、外出先や在宅勤務中でも内容確認ができ、対応もスムーズです。
印刷やスキャンも複合機だけで完結するため、デスクへの往復や順番待ちの時間が削減され、全体の業務フローが軽快になります。
『コスト削減とペーパーレス化の推進』
クラウド連携は、目に見えるコストから見えづらい間接費用まで、幅広く削減効果をもたらします。
例えば、FAXのペーパーレス化やデータ共有の電子化により、紙やトナーの消費が大きく減少。印刷枚数の抑制は、電気代の削減にもつながります。
また、書類保管用のキャビネットや書庫が不要になれば、オフィスのスペースを有効活用でき、賃料の圧縮やフリーアドレス化も実現しやすくなるでしょう。
書類の整理・管理・廃棄といった事務的な作業も減るため、人件費や時間も節約できます。
適切にクラウドへ保存しておくことで、電子帳簿保存法の要件を満たしやすくなり、紙での保管義務の軽減や税務対応の円滑化にもつながるでしょう。
『多様な働き方への対応(テレワーク・ハイブリッドワーク)』
働き方が多様化するなか、クラウド連携はテレワークやハイブリッドワークの強い味方です。
社外からでも必要なデータへアクセスし、印刷・閲覧・編集が可能になることで、業務の場所的制約がなくなります。
例えば、出社時に受け取った紙の資料をスキャンしてクラウドに保存すれば、自宅のパソコンからすぐに内容を確認し業務を継続することができます。
オフィスと自宅間の情報の断絶をなくせば、柔軟な働き方が実現し、従業員の生産性と満足度の向上にもつながります。
加えて、災害などで出社が難しい場合でも、クラウド上の情報を使えば、業務の継続性が確保され、BCP対策としても有効です。
『セキュリティ強化とリスク低減』
クラウドと複合機を組み合わせることで、セキュリティ面でも多くのメリットが生まれます。
スキャンデータはパソコンを経由せずにクラウドに保存されるため、USBメモリなど外部媒体への依存がなくなり、情報漏洩のリスクが抑えられます。
本人確認を経たうえでのみ印刷できる「認証印刷」を導入すれば、出力物の取り違いや放置による情報流出も防止可能。紙書類には紛失や劣化、火災・水害といった物理的リスクがつきものですが、クラウド保存ならそうしたリスクから解放されて定期的なバックアップも容易です。
また、アクセス権限をユーザーごとに細かく設定できる点も安心材料で、情報管理の透明性と信頼性を高めてくれるでしょう。
複合機メーカーのおすすめクラウド連携サービス&ソリューションを紹介!
複合機のクラウド連携は、現在、主要な複合機メーカーのほとんどが提供しています。
それぞれのメーカーが独自の強みや連携サービスを持っており、自社の環境やニーズに合わせて選択することが重要です。
ここでは、下記の代表的なメーカーのクラウド連携ソリューションを紹介していきます。
- 富士フイルムビジネスイノベーション(旧 富士ゼロックス)
- リコー(RICOH)
- キヤノン(Canon)
- シャープ(SHARP)
詳しくみていきましょう。
『富士フイルムビジネスイノベーション(旧 富士ゼロックス)』
富士フイルムビジネスイノベーションは、複数のクラウドサービスと複合機をつなぐ「Cloud Service Hub」を提供。BoxやGoogle Driveなどにスキャンデータを保存したり、クラウド上のファイルを複合機から直接印刷したりできます。
マルチクラウドに対応しており、複数のストレージをまとめて管理できるのが特徴です。
『リコー(RICOH)』
リコーは、「RICOH カンタンストレージ活用シリーズ」により、パソコンなしでクラウドとの連携を可能にしています。
スキャンしたデータはそのままクラウドへ保存でき、クラウド上のファイルも複合機から直接印刷可能。さらに「RICOH Smart Integration(RSI)」により、さまざまなクラウドサービスとの連携が強化され、業務効率化を支援します。
『キヤノン(Canon)』
キヤノンの「uniFLOW Online」は、印刷管理・コスト削減・セキュリティ強化を目的としたクラウド型ソリューションです。
BoxやGoogle Driveなどに直接スキャン保存ができ、クラウドからの印刷にも対応。「Cloud Connector」を使えば、パソコンを使わずに複合機からクラウドへ直接アクセスできるため、手間を減らし、作業がスムーズになります。
『シャープ(SHARP)』
シャープも、クラウド連携で業務効率を高める複合機を展開しています。
スキャン文書を主要クラウドに直接保存できるほか、受信FAXも自動でクラウドに送信され、パソコンやスマホから確認可能。文書共有や管理がより簡単になり、テレワークにも対応しやすくなっています。
クラウド連携複合機の選び方は?導入する際の注意点も解説!
クラウド連携複合機を導入することで、業務の効率化や情報共有のスピード向上が期待できます。
しかし、導入を成功させるには、自社に合った機種選びとスムーズに活用するための準備が欠かせません。
ここでは、選定時に重視すべきポイントと導入時に押さえておきたい注意点について紹介します。
『クラウド連携複合機の選び方』
導入前にまず、「なぜクラウド連携が必要なのか」「どんな業務課題を解決したいのか」を明確にしましょう。
紙書類の保管スペースを減らしたい場合は、スキャン後すぐにクラウド保存できる機能や検索しやすい仕組みが重要。また、既に使っている、あるいは今後導入予定のクラウドサービス(Microsoft 365、Google Workspace、Box、Dropboxなど)と連携できる複合機を選ぶことが大前提です。
機能面では下記のようなポイントをチェックしましょう。
- スキャン機能(OCRの精度、読み取りスピード、対応ファイル形式など)
- 印刷機能(クラウドからの直接印刷、認証印刷の有無)
- FAX機能(受信FAXの自動クラウド保存、通知の仕組み)
日常的に使う機器なので、操作パネルが直感的かどうかも見逃せません。
また、クラウドに重要な情報を保存するため、セキュリティ対策も欠かせません。
データの暗号化やアクセス制御、ログ管理などの対応状況をしっかり確認しましょう。
初期費用だけでなく、保守費やクラウド利用料も含めたトータルコストで比較し、コストに見合った効果が得られるかを見極めることが大切です。
『導入時の重要なポイント』
クラウド連携複合機をうまく活用するには、導入時の工夫が欠かせません。
重要なのは従業員への周知と教育です。
なぜ導入するのか、何が便利になるのかをしっかり伝え、操作方法はマニュアルだけでなく実践的な研修を通じて習得できるようにしましょう。
組織規模が大きい場合や業務が複雑な場合は、段階的な導入が有効。まず一部の部署で試験導入を行い、課題や改善点を整理したうえで全社に広げることで、スムーズな切り替えが可能になります。
また、複合機メーカーや販売店による導入後のサポート体制もチェックしておきましょう。
設定やネットワーク構築の支援だけでなく、トラブル発生時の対応スピードやサポート内容も重要。運用ルールも整備してください。
クラウドに保存するファイル名やフォルダ構成は統一し、必要な情報がすぐ見つけられるようにしましょう。
アクセス権限も部署や役職に応じて設定し、セキュリティを確保することが求められます。
複合機クラウド連携の活用事例【4選】
複合機とクラウド連携は、業種や企業の規模を問わず、様々なビジネスシーンでその真価を発揮しています。
ここでは、下記の活用事例をまとめました。
- 大成建設株式会社 × 富士フイルムビジネスイノベーション(旧:富士ゼロックス)
- エイブル保証株式会社 × Canon × Dropbox Business
- 野村證券 × Box × RICOH
- 株式会社ひふみ(高知県)× Brother × Chatwork
どのように業務効率化や課題解決に繋がっているのかをみていきましょう。
『大成建設株式会社 × 富士フイルムビジネスイノベーション(旧:富士ゼロックス)』
大成建設株式会社では、建設現場と本社の間でスムーズな情報共有を実現するため、富士フイルムビジネスイノベーション(旧・富士ゼロックス)の複合機とクラウドストレージを導入しました。
現場で発生する帳票類や図面をスキャンしてクラウドに即時アップロードすることで、遠隔地にいる担当者ともリアルタイムでデータを共有できる体制を整えています。
BIMやCIMといった設計・施工データのやり取りが迅速になり、現場の作業効率と透明性が飛躍的に向上したとされています。
『エイブル保証株式会社 × Canon × Dropbox Business』
エイブル保証株式会社では、全国規模の不動産保証業務を支える経理部門の効率化を目指し、Canonの複合機とDropbox Businessを連携させた仕組みを導入しました。
これにより、毎月数千枚にものぼる請求書をOCRで読み取ってクラウドに保存し、指定のフォルダへ自動振り分け。電子帳簿保存法への対応と同時に、紙書類の保管スペースを大幅に削減し、経理業務全体の生産性向上に成功しています。
『野村證券 × Box × RICOH』
野村證券では、営業部門におけるモバイルワークの強化を目的に、BoxとRICOHの複合機を組み合わせた環境を構築しました。
営業担当者は外出先からスマートフォンやタブレットを使って、Box上に保存された最新の資料にアクセス可能です。
また、必要に応じてオフィスの複合機に遠隔で印刷指示を出すこともできるため、訪問前の準備が効率化され、顧客対応のスピードと質が向上。もちろん、全体のシステムは厳格なセキュリティポリシーに基づいて運用されています。
『株式会社ひふみ(高知県)× Brother × Chatwork』
高知県にある株式会社ひふみでは、税理士・社労士業務を担う士業系の事務所として、Brother製の複合機とChatworkを組み合わせた業務フローを採用しています。
FAXを受信すると、内容が自動的にDropboxへ保存され、その情報がChatworkに通知される仕組みになっています。
これにより、社内の誰もがすぐに内容を確認でき、見落としや対応の遅れがなくなりました。
小規模なチームながら、クラウドを活用することで高い業務効率とスピード感を実現しています。
さいごに|クラウド対応複合機でオフィスの働き方は変わる!
複合機とクラウドがつながることで、オフィスの仕事は格段に効率化されます。
ただのコピー・印刷機器だった存在が、情報のハブとして業務の中核を担うようにもなるのです。
スキャンやFAX、印刷といった日常業務が、クラウドを通してどこでも完結できるようになれば、時間や場所に縛られず柔軟な働き方が可能になります。
これは、単なる便利機能の追加ではなく、ビジネスのスピードを上げ、生産性を高めるための戦略的な一手ともいえるでしょう。
ペーパーレス化やコスト削減に加え、セキュリティ対策やBCP(事業継続計画)にもつながるクラウド連携はあらゆる企業にとって今後ますます欠かせない要素になるはずです。
まずは、自社の課題を見つめ直し、必要な機能や導入目的を明確にするところから始めてみてください。
複合機の可能性は、使い方次第で大きく広がります。時代に合った働き方の実現に向けて、一歩踏み出す価値は十分にあるでしょう。
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