複合機のタイムスタンプとは?目的や署名・発行方法など解説!
書類の信頼性を保つための方法として、複合機のタイムスタンプがあります。
重要書類の改ざんや不正を防止する目的で数多くの企業が取り扱っており、「いつ」「だれが」作成した書類なのかを把握するための最善の手段といってもよいでしょう。
本記事では、そんな複合機のタイムスタンプをテーマに解説しています。
発行、署名する手順も紹介していますので、ぜひ最後までじっくり読んで参考にしてください。
目次
複合機のタイムスタンプとは?活用する目的についても解説!
複合機のタイムスタンプ機能を活用することで、企業内の重要書類の信頼性を保つことができます。
そもそも、タイムスタンプとは何なのか知りたい方もいることでしょう。
ここでは、次の2つに要点を絞って解説していきます。
- 複合機のタイムスタンプとは何なのか
- タイムスタンプを活用する目的
それでは、詳しくみていきましょう。
『そもそもタイムスタンプとは』
ソフトウェアで作成・保存した文書データである電子書類には、下記のようなメリットが挙げられます。
- 保管や紙の印刷にかかるコストが削減できる
- 保管書類の検索が容易になる
- 紛失リスクが低減する
- 複製が容易になる
- 書類の経年劣化の心配がない
その一方で、紙媒体と比べて改ざんがしやすいというリスクがありますし、複製が容易ということは悪意のある者に簡単に複製を作られてしまうということです。
そうしたデメリットもある電子書類の信頼性を担保するために導入されたのがタイムスタンプです。
『複合機のタイムスタンプとは?』
複合機のタイムスタンプとは、スキャンデータをPDF保存する際や印刷をかける際に日付が印字される機能のことです。
重要書類やデータを電子保管する場合の改ざんや不正を防止する役割を担っています。
複合機の基本機能として内蔵されていますが、対応していない複合機種もありますので、検討する際は、機種のパンフレットなどでよく確認しましょう。
それでも、複合機のタイムスタンプがイメージつきにくい方もいることでしょう。
オフラインでは、書類の決裁時に日付印を押すことがありますが、それと同じようなイメージです。
重要書類やデータを電子的に効率よく保存できるため、複合機のタイムスタンプを導入している企業も多くみられます。
『活用する目的は?パターン別に3つ紹介!』
複合機のタイムスタンプを活用する目的は、次のようなパターンが挙げられます。
- データの改ざん防止
- スキャンデータの作成日を明確にする
- データの完全性を保つ
ここでは、それぞれのパターン別に紹介します。
●データの改ざんを防止する
一般的に、タイムスタンプには「日付(作成日)」「名前」つまり、どこの誰がデータを取り扱ったのかが分かるようになっています。
そのため、従業員による改ざんや不正を防止する目的で導入している企業も少なくありません。
●スキャンした日時を明確にする
重要書類やデータを保管するなかで、いつの記録か分からないときもありますよね。タイムスタンプがあれば、作成日が表示されるため明確に分かります。
●データの紛失・消失防止
データを電子保存している場合、ハードディスクの経年劣化とともに紛失・消失してしまう恐れがあります。
しかし、タイムスタンプが発行されたスキャンデータは、電子帳簿保存法と呼ばれる法律のなかで真実性が認められています。
そのため、データ紛失・消失時の保険としても活用できるでしょう。
『複合機のタイムスタンプ機能を使うメリット』
前述したようなことに活用できるタイムスタンプですが、導入するとなるとコストがかかります。
タイムスタンプを付与してくれるサービスもありますが、そうしたサービスを利用した場合や必要な書類すべてにタイムスタンプを付与した場合、付与するたびに費用が発生してしまうのでこちらもコストがかかってしまいます。
また、付与するものによっては、ひとつのサービスでできないこともあるので、場合によってはサービスを使い分ける必要があってかなり面倒です。
しかし、すでに導入してる複合機にタイムスタンプ機能が備わっているのなら、新たな導入コストは発生しません。
しかも、サービスを利用する必要もなく、自らで行うのですから、付与するたびに費用が発生してしまうこともないでしょう。
『電子帳簿保存法の大幅改正でもタイムスタンプの重要性は下がっていない』
1998年7月に施行さに施行された電子帳簿保存法。電子帳簿保存法とは、国税関係帳簿と国税関係書類といった、これまで紙媒体での保存が義務付けられていたものでも電子データで保存することが可能とになったため、電子データで保存する場合での要件を定めた法律です。
この法律によって、2024年1月からは電子取引のデータ保存が完全義務化されましたが、その前の2022年1月には大幅改正があり、様々なことが緩和されています。
例えば、改正によって「付与期間が最長2か月と概ね7営業日以内」となりました。
その他にも、スキャナ保存における自署が不要になっています。
そして、一番の緩和と言えるのが、場合によってはタイムスタンプの付与が不要になったということです。
そのため、以前と比べるとタイムスタンプの重要性は低くなってはいます。
ただ、付与が不要となる場合とは、社内で電子書類の内容の訂正・削除の履歴が残るシステムやサービスを利用していたり、訂正・削除を防ぐための事務処理規程を社内で運用していた場合です。
システムやサービスを利用していないし、訂正・削除を防ぐための事務処理規程の運用もない場合は、現在もタイムスタンプの付与が必要となっています。
そのため、会社によってはタイムスタンプの重要性が下がったところもあるでしょうが、まだまだ重要という会社も存在しているということです。
【関連記事】
複合機でタイムスタンプを発行・署名する流れは?
大手メーカーのリコー、キャノン、ゼロックス、コニカミノルタなど、機種によって複合機の操作方法が異なるため、ここでは一般的なタイムスタンプを発行・署名する流れを紹介していきます。
『複合機でタイムスタンプを発行・署名する3つのステップとは?』
それでは、複合機でタイムスタンプを発行・署名する一連の流れをみていきましょう。
●ステップ1 タイムスタンプを発行したいデータをスキャン
複合機でタイムスタンプを発行するためには、あらかじめ重要書類やデータなどを複合機内に取り込まなければなりません。
●ステップ2 スキャンしたデータに署名する
複合機内にスキャンしたデータにタイムスタンプを署名します。このとき、登録した「日付(作成日)」「名前」が付与されます。
●ステップ3 署名が付与されたデータをメール送信
複合機とパソコンを共有フォルダなどで連動させておくことで、デバイス間でのデータのやりとりが容易にできます。また、メールでも送信可能です。
『iR-ADVシリーズを例にタイムスタンプを押す手順を紹介』
iR-ADVシリーズでは、「スキャンして送信時に済みスタンプをつける」ことと「ファクス送信時に済みスタンプをつける」ことが可能です。
まず、スキャンして送信時に済みスタンプをつける場合の手順は、下記のとおりです。
- 原稿をフィーダーにセットする
- 操作パネルのメインメニュー画面で「スキャンして送信」を選択する
- 宛先を指定する
- 「その他の機能」を押す
- 「済スタンプ」を押す
- 画面を閉じて「スタート」を押す
ファクス送信時に済みスタンプをつける手順ですが、原稿をフィーダーにセットした後にメインメニュー画面で「ファクス」を選んだら、後は上記3〜6の手順で進んでいけばスキャン済みの原稿にスタンプが押されます。
『複合機のタイムスタンプが使用されるケースを2つ紹介!』
次に、複合機のタイムスタンプが使用されるケースについて紹介します。
●決算書などの財務関連書類
タイムスタンプが発行されていない国税関係帳簿書類は、法的な根拠を示さない場合があります。そのため、国税に関連する重要書類などは、複合機のタイムスタンプによって信頼性を担保します。
●見積書・請求書・領収書などの一般書類
見積書や請求書、領収書は一般書類に分類されますが、タイムスタンプで日付などの信頼性を確保する企業も少なくありません。タイムスタンプを活用した一般書類のデータ管理にも適しているといえます。
『複合機でタイムスタンプを署名・発行する際の注意点』
複合機でタイムスタンプを署名・発行する際の注意点をいくつか紹介します。
署名・発行する際には下記のことに注意してください。
- スタンプの付与期間を過ぎないようにする
- 不正利用に注意する
電子帳簿保存法の緩和によって付与期間が伸びましたが、期間はありますからこれまで通り、作成・受領したらすぐに付与するようにしましょう。
長くなったからと油断していると、期間を過ぎてしまっていたということになってしまいます。
複合機でタイムスタンプを署名・発行することができるようになれば、1枚の領収証を複数人がスキャンし、それぞれにタイムスタンプを発行するといったことが可能となります。
しかし、そうした不正利用が発覚したら、何らかの処分を受けることになるでしょう。
そのため不正利用に注意し、不正利用が起きないようにするために付与に関する社内ルールを策定しておくことをおすすめします。
さいごに|複合機でタイムスタンプを発行して電子文書の信頼性UP!
複合機のタイムスタンプの有無で、書類やデータの信頼性に大きく影響します。
特に国税に関連する重要書類などのタイムスタンプは、電子帳簿保存法で真実性が認められているため、企業にとっても必要不可欠なものとなっています。
しかし、まだ複合機のタイムスタンプを導入していない企業も少なくありません。
最後に、本記事の内容をまとめます。
- タイムスタンプによって、改ざんや不正の防止に繋がる
- タイムスタンプが付与されたスキャンデータは、電子帳簿保存法でも真実性が認められている
- 重要書類の作成日が明確に分かる
- タイムスタンプの発行手順は「データスキャン」「署名」「発行」の3ステップ
- 重要書類だけでなく、一般書類にも活用できる
タイムスタンプを有効活用して電子文書の信頼性を向上させることが重要です。
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