複合機のキット方式(トナー購入)とカウンター方式の違いは?
業務用フルオプションA3カラー複合機を月額6,900円でリース・販売している株式会社じむやの堀田です。
今回は、キット方式の複合機について解説していきます。
また、カウンター方式との違いについても触れています。
ぜひ、最後までご覧ください。
目次
複合機のキット方式とは?
複合機のキット方式とは、カウンター料金の様に一枚印刷する事に費用が発生するのではなく、都度トナーカートリッジを購入する方式の事です。
販売店から純正のトナーカートリッジを購入する事によって無料で保守が受けられます。
これをキット保守と言います。
キット方式とも言われるトナー方式。メーカーよりトナーのキットを購入します。購入代金には保守料金が含まれており、トナーがある限り、保守を受けられる仕組みです。
引用:トナー方式の複合機
複合機におけるキット方式とカウンター方式(保守)の違いは?
複合機のキット方式とカウンター方式(保守)との違いは、トナーや保守費用を誰が負担・管理するかというところにあります。
カウンター方式は印刷枚数に応じて料金を支払う仕組みで、トナー代や保守費用がその中に含まれており、業者が一括で管理してくれるのが特徴です。
一方、キット方式はトナーを自分で購入して使用する方式で、保守対応も原則として別料金になります。
その分、印刷量が少ない場合にはコストを抑えられるメリットがあります。
つまり、業者に管理を任せて安心して使いたいならカウンター方式、自分で管理してコストを抑えたいならキット方式を選ぶのがおすすめです。
具体的な違いについて、下表でまとめました。
キット方式 | カウンター方式 | |
トナー購入費 | 有り | 無し |
カウンター料金 | 無し | 有り |
基本料金(カウンター最低料金) | 無し | 有り |
モノクロ一枚あたりのコストの相場 | 7円 | 2円 |
選ぶ基準 | 毎月の印刷枚数が100枚未満 | 毎月の印刷枚数が100枚以上 |
以上が早見表となりますが、もう少し詳しく解説していきます。
『キット方式の特徴』
先ほどご紹介したとおり、トナーを買えば保守は無料で受けられます。
基本的には、メーカー純正トナーを正規ルートで購入している限り、故障時の修理や定期的なメンテナンスもメーカーが対応してくれます。
そのため、カウンター方式と比べても保守の質に差があるわけではなく、安心して利用できるところは特徴的。カウンター方式と同じくメーカーメンテナンスとなりますので、キット方式の機種にしたからといって保守に違いが出ることはありません。
平均すると1枚当たりのコストは7円前後と非常に高いので、業務用複合機が必要で印刷枚数が極端に少ない企業様におすすめです。
ちなみに、キット方式ではカウンター契約のように印刷1枚ごとの課金がない代わりに、トナー代が費用の主軸となります。
トナーの消費量に応じて費用が変動し、1枚あたりのコストは平均で7円前後となりやすいため、印刷量が多い環境ではカウンター方式よりもランニングコストがかさみやすくなります。
キット方式は印刷枚数が少ない企業やカラー印刷よりもモノクロ中心で運用している小規模オフィスにおすすめなのは前述のとおりです。
印刷頻度が低くても、メーカーの保守サポートを受けながら安心して複合機を利用したいという場合の選択肢のひとつとなり得るでしょう。
『カウンター方式の特徴』
カウンター方式の特徴といえば、1枚印刷することに費用が発生し、それが保守費用となる方式です。
一枚一枚お金を取られて損している気分!なんて思う方もいることでしょうが、モノクロ一枚当たりの相場的に言えば非常に安いです。
つまり、複合機のカウンター方式は、印刷した枚数に応じて料金を支払う仕組み。モノクロ・カラーそれぞれに単価が設定されており、1枚あたりの料金にはトナー代や部品交換、修理・点検などの保守費用がすべて含まれています。
トナーを別途購入する必要がなく、トナー切れや故障の際も業者がすべて対応してくれるため、管理の手間がほとんどかかりません。
その分、印刷量が少ない場合でも最低料金が発生するケースがありますが、印刷枚数が多い企業や日常的に複合機を使うオフィスでは安定した運用と費用管理がしやすい方式です。
詳細については、こちらの関連記事で解説しています。
【関連記事】
複合機におけるキット方式とカウンター方式のメリット・デメリットを解説!
複合機を導入する際、キット方式とカウンター方式の違いを理解しておくべきです。
かける費用と運用負担のバランスを最適化するうえで重要だからです。
どちらの方式もメーカー保守が受けられますが、印刷量や印刷物の種類によって向き不向きがあります。
ここでは、メリット・デメリットをまとめながら、どちらの方式が自社に合うかを解説しています。
方式 | キット方式 | カウンター方式 |
メリット | ・初期費用が抑えられる(固定費不要) ・トナー購入に応じて柔軟に運用できる ・正規トナー使用で保守品質はカウンター方式と同等 |
・印刷量が多くてもコストが安定 ・トナー補充、保守点検、修理が業者対応で手間なし ・1枚単価が明確でコスト管理が容易 |
デメリット | ・印刷1枚あたりのコストが高め ・トナー管理や故障対応は自社負担 ・印刷量が増えると費用計算が複雑 |
・少量印刷では割高になる場合がある ・契約内容によって柔軟性がやや低い |
向いている企業 | ・印刷枚数が少ない小規模オフィス ・モノクロ中心の印刷が多い事業所 |
・印刷枚数が多いオフィス ・カラー印刷や資料作成が多い企業 |
『キット方式のメリット・デメリット』
キット方式は、トナーを自分で購入して使用する方式です。
購入したトナーを使用することで、メーカーの保守サービスを受けられます。
カウンター方式と比べても、保守品質に差はなく、故障や定期点検も安心して任せられるところが違いです。
メリット
キット方式のメリットを下記にまとめました。
- 初期費用が抑えられる
- 自分のペースで管理できる
- 保守品質はカウンター方式と同等
もう少し掘り下げて解説します。
月額固定費がなく、必要な分だけトナーを購入すれば運用可能。また、印刷量に応じてトナー補充が可能で、使わない月は費用を最小限にできるところはメリットです。
他、正規トナー使用が条件ですが、メーカー対応で安心です。
デメリット
次に、キット方式のデメリットを下記にまとめました。
- 印刷1枚あたりのコストが高い
- 管理の手間がかかる
- 印刷量が多いとコスト計算が複雑
デメリットについても、掘り下げて解説します。
大量印刷には向かず、トナー単価が直接コストに反映されます。
また、トナーの在庫管理や故障時の手配を自社で行う必要があります。
大量印刷時にはランニングコストが予測しづらいところはデメリットです。
『カウンター方式のメリット・デメリット』
カウンター方式は、印刷した枚数に応じて料金を支払う方式です。
料金にはトナー代・部品交換・修理・定期点検などの保守費用が含まれており、トラブル時も追加費用がほとんどかかりません。
メリット
カウンター方式のメリットを下記にまとめました。
- 印刷量が多くてもコスト安定
- 管理の手間が少ない
- コストを明確に把握できる
1枚単価が決まっており、印刷量が増えても安心です。
また、トナー補充や保守対応はすべて業者任せできるので、自社で考える必要はありません。
毎月の印刷枚数に応じた請求で、運用費用の管理が簡単なところもメリットです。
デメリット
カウンター方式のデメリットも下記にまとめました。
- 少量印刷では割高になる場合がある
- 柔軟性がやや低い
最低料金が設定される場合があり、印刷枚数が少ない環境には不向きですので注意が必要です。
また、契約内容によってはトナー種類や保守内容の変更が自由にできません。
業界歴10年以上のOA機器会社社長がキット方式をおすすめしない理由3選
ここでは現役のOA機器会社社長である私がキット方式の複合機をおすすめしない理由を赤裸々にご紹介していきます。
『モノクロ印刷がMAXで1枚182円のコストがかかる!』
これは何も大袈裟に言っているのではなく、普通にある話です。
例えば、東芝がトナーの価格表として出している金額を見ると、想定枚数が2000枚のトナーで22000円。
モノクロ1枚単価「11円」になる計算になります。
S-23291 22,000円(税別)A4サイズ、黒白率6%の標準原稿で2,000枚相当のプリントが可能です。(原稿によりプリント枚数が変動します)
引用:e-STUDIO2329A 保守サービス
しかも厄介なのが、「A4・6%」という基準で計算されている点で、キット方式の複合機はどこのメーカーの機種も共通の数字です。
※京セラだけ「A4・5%」で計算しています。
これは「ベタ率(塗りつぶした面積)がA4用紙の6%分のトナー量」を使った場合で想定しているという事になります。
ですので、これが100%のベタ率だと換算すると11円×16.6倍=約182円となるのです。
下の画像がA4・6%に相当するものですが、一般的な会社の見積もり書と同じぐらいの量ですよね。
これが多いか少ないかは原稿によりますので、何とも言えないですが、ほとんどの方は少ないと感じるはずです。
『キット方式(キット機)の複合機は低スペックが基本』
どのメーカーもキット方式の機種はカウンター方式の機種の10%程しか流通しておりません。
これは何故かというと単純に売れないからです。
文中でも紹介しましたが、月間の印刷枚数が100枚以下ぐらいのレベルでないとメリットが出ないからです。
そうなると、メーカーもカウンター方式の機種に力を入れますので、スペック的にキット機の能力は劣り気味になります。
『本体料金はカウンター方式の機種と変わらない』
これは弊社にも良くお問い合わせがあるのですが「キット方式の方が本体料金が安いんでしょ?だったらそっちの方で見積書が欲しい」と言われます。
何故この様な事を言われるのかと言えば、メーカーが出している定価がキット方式の機種の方が安いからです。
ただ、先ほどの流通の話に戻りますが、カウンター方式の10分の1の生産数という事は、部品の生産コストが圧倒的に違うという事です。
なので、基本的にどこの販売店もカウンター方式の複合機と比べて仕入れコストは同じか安いです。
自社に合った方式の選び方は?キット方式とカウンター方式どちらを選ぶべき?
複合機を導入する際、キット方式とカウンター方式の違いがよく分からないという声は少なくありません。
どちらもメーカーの保守を受けられますが、印刷量や利用スタイルによってコストパフォーマンスは大きく変わります。
一般的に、印刷量が多いオフィスや事業所ではカウンター方式、印刷頻度が低い小規模事業者や個人事務所ではキット方式がおすすめです。
ここでは、それぞれの選び方について、下記2つのポイントでまとめました。
- 印刷枚数
- 印刷物
詳しくみていきましょう。
『印刷枚数で選ぶ』
複合機のキット方式とカウンター方式の違いを考えるうえで、印刷枚数が多いか少ないかというポイントがあります。
毎月同じくらいの枚数でカラーやモノクロを印刷する場合には、カウンター方式を選ぶのが一般的です。
印刷1枚ごとの料金には、トナー代や部品交換、修理などの保守費用がすべて含まれているため、トラブル時も追加費用が発生しにくく安定した運用が可能です。
一方で、キット方式は印刷量が少ない場合におすすめです。
カウンター契約のような月額固定費が不要なため、使わない月の費用を抑えることができます。
ただし、印刷量が多くなるとトナーの消費が増え、1枚あたりの費用が高くなるところには注意しなければなりません。
『印刷物で選ぶ』
キット方式とカウンター方式を選ぶもうひとつの判断基準は、印刷する書類の内容(印刷物)です。
カラー資料や写真、グラフなど、トナーを多く消費する印刷物を頻繁に出力する場合はカウンター方式がおすすめです。
トナー代が定額で管理されているため、印刷量が増えても費用が大きく跳ね上がる心配がありません。
一方で、文字中心のモノクロ文書や社内メモなどトナー消費が少ない印刷がメインであれば、キット方式のほうが経済的。トナーを都度購入する仕組みのため、使用頻度が低い企業でも無駄な費用が発生しにくく、効率的な費用管理が可能です。
複合機のキット方式とカウンター方式の違いに関するQ&A
ここでは、複合機におけるキット方式とカウンター方式の違いに関連したQ&Aをまとめました。
『カウンター保守とは何ですか?』
カウンター保守契約とは、複合機の印刷枚数に応じて料金を支払う方式の保守契約です。
あらかじめモノクロ印刷やカラー印刷それぞれの1枚あたりの単価が設定されており、実際に印刷した枚数がカウントされることで、月々の料金が決まります。
この方式の大きな特徴は、印刷料金の中にトナー代や部品交換、定期点検、故障時の修理などの保守サービス費用がすべて含まれているところです。
そのため、印刷量が多いオフィスや企業でも追加費用を心配することなく安定して複合機を運用できます。
さらに、カウンター保守契約ではトナーの補充もメーカーが対応するため、自社でトナーの在庫管理や交換作業を行う必要がありません。
故障やメンテナンスの際も、メーカーが迅速に対応してくれるため、運用の手間を最小限に抑えられるのが大きなメリットです。
このように、印刷量が多く日常的に複合機を使用する環境では、カウンター保守契約がおすすめです。
『インクキット方式とは何ですか?』
インクキット方式とは、複合機のトナーやインクをメーカーから保守機能付きのキットとして購入して使用する方式です。
一般的には、キット方式やトナー方式とも呼ばれます。
この方式では、購入したトナーキットを使用している間、メーカーの保守サービスを受けられるのが大きな特徴です。
つまり、トナーを使っている期間中は故障や部品交換、定期点検などのメンテナンスが無償で提供されるため、カウンター方式と同様にメーカーによる安心のサポートを受けながら複合機を運用できます。
ただし、キット方式ではトナーがなくなると、自社で新しいトナーキットを再購入する必要があります。
トナーを購入しなければ保守サービスの対象外となるため、定期的にトナーの残量を確認し、切れる前に交換する管理が必要です。
また、トナー代が直接コストに反映されるため、印刷枚数が多い場合には1枚あたりの単価が高くなることがあります。
これらの特徴から、キット方式は印刷量が少ない小規模オフィス中心の利用環境におすすめです。
さいごに|複合機を選ぶ時はカウンター方式一択!
結局複合機を選ぶ時はカウンター方式一択です。
何故なら、ベタ率が例え100%でも一律料金で印刷が可能だからです。
一番上に見積もりを出していますが、僕の会社で言えば、ベタ率関係なく一律モノクロ0.6円以下で出来ます。
仮にベタ率100%の原稿を刷ったとしても一枚0.6円です。
こう考えるとカウンター機にしないメリットはないですね。
ただ、欠点もあります。「カウンター最低保証金額(基本料金)」が発生するメーカーがほとんどだという事です。
これは「毎月最低○枚は刷って下さいね」という料金で月額1,000円ぐらいは使わなくても徴収されます。
そうするとあまりにも印刷頻度が少ない場合は、キット機の方がよい計算になります。
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