複合機の法定耐用年数は何年?【減価償却期間と同じ!】
業務用フルオプションA3カラー複合機を月額6,900円でリース・販売している株式会社じむやの堀田です。
今回は複合機の法定耐用年数について解説していきます。
目次
そもそも法定耐用年数とは?
法定対用年数とは、国が定めた使用期間の事で、その製品の本来の効果が維持できる年数でもあります。
企業が個々各々の製品で耐用年数を決めるのは不確定要素が強く、決算時の会計上でバラつきが出てしまう為、製品毎にカテゴリ分けをして法定耐用年数が定められています。
減価償却資産の「耐用年数」とは、通常の維持補修を加える場合にその減価償却資産の本来の用途用法により通常予定される効果をあげることができる年数、すなわち通常の効用持続年数のことをいい、その年数は「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(昭和40年大蔵省令第15号)により定められています
引用元:償却資産の評価に用いる耐用年数
新品の複合機の法定耐用年数は何年?
結論から書きます。複合機の法定耐用年数は5年となります。
国税庁の「耐用年数(器具・備品)(その1)」というページの「事務機器、通信機器」「複写機、計算機(電子計算機を除く。)、金銭登録機、タイムレコーダーその他これらに類するもの」で5年となっております。
法定耐用年数は昭和40年3月31日に耐用年数省令されました。
複合機は、この時(昭和40年)の耐久性能が基準となって5年という数字になっております。
平成20年に一度改正されてはいますが、その時に複合機の対応年数の見直しはされておりません。
中古の複合機の法定耐用年数は何年?
実は中古にも法定耐用年数というのが存在し、それを通称「使用可能期間」と言います。
ただ、中古には2パターンの考え方がありますので、計算式も含めてご紹介します。
中古資産を取得して事業の用に供した場合には、その資産の耐用年数は、法定耐用年数ではなく、その事業の用に供した時以後の使用可能期間として見積もられる年数によることができます。
引用元:中古資産の耐用年数
『製造年月日から5年以上経過した中古複合機の使用可能期間は?』
この場合の国税庁の定義では「その法定耐用年数の20%に相当する年数」を中古資産の使用可能期間と定めています。
すでに法定耐用年数が過ぎているので、複合機の法定耐用年数5年×20%に相当する「1年」が使用可能期間とされます。
『製造年月日から3年経過した中古複合機の使用可能期間は?』
この場合の国税庁の定義では「その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20%に相当する年数を加えた年数」を中古資産の使用可能期間と定めています。
かなり、ややこしい文章なので、分かりやすく計算してみます。
①法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数
5年 - 3年 = 2年
②経過年数3年の20%に相当する年数
3年 × 20% = 0.6年(7ヶ月と2日)
③耐用年数(使用可能年数)
2年 + 7ヶ月と2日 = 2年7ヶ月2日
法定耐用年数=減価償却期間?
この法定耐用年数は、製品の法律の様な役割をしていますが、実は「法定耐用年数=減価償却期間」でもあるのです。
なので、複合機を現金購入した場合、5年間での償却が可能となり節税の効果も期待が出来ます。
ただ、「複合機を現金購入しても全額経費?【少額減価償却資産の特例とは?】」に記載もしておりますが、一括ですべて経費に出来た方が良い時もあります。
個人事業主は必ず減価償却をしないといけないという事もありますので、上記の制度を使い利益が出すぎた分経費として使いたい場合におすすめです。
弊社では少額減価償却資産の特例の対応も行っております。
減価償却の種類
減価償却には「定額法」「定率法」の2種類の償却方法がありますので、それぞれの計算方法をご紹介したいと思います。
複合機を購入したとして、分かりやく解説していきます。
この後、数字として出てきますが、複合機を使い続けている限り減価償却は0円にしていけません。
普通の会社では1円を残すのですが、これは備忘価額と言い、無くなった物とある物を区別する為にあります。
前提として複合機を100万円で購入、法定耐用年数は5年とします。
『定額法の計算方法』
まず定額法の計算式は上記の様になります。
前提条件の複合機の購入代金を100万円、定耐用年数は5年として当てはめてみます。
1,000,000円 × 0.2(1÷5年) = 200,000円
これが1年間の減価償却費となります。
なので、1年で20万円×5年で丁度償却が出来るという事です。
1年目 | 1,000,000円 × 0.2(1÷5年) = 200,000円 |
2年目 | 1,000,000円 × 0.2(1÷5年) = 200,000円 |
3年目 | 1,000,000円 × 0.2(1÷5年) = 200,000円 |
4年目 | 1,000,000円 × 0.2(1÷5年) = 200,000円 |
5年目 | 1,000,000円 × 0.2(1÷5年) = 199,999円 |
『定率法の計算方法』
※その年が償却保証額(保証率)以下になった場合は定額法に変更
定率法の計算式は上記の様になります。
定率法償却率については定額法償却率の2倍となっていますが、小数点の部分で若干ズレがでますので、「減価償却資産の償却率表」を見てください。
計算の肝として、減価償却資産の償却率表の5年の場合の保証率「0.10800」の額を下回ったら、残りの年数分を定額法で割ります。
ここの部分が割とややこしいので「減価償却の計算サイト」で計算すると早いです。
前提条件の複合機の購入代金を100万円、定耐用年数は5年として当てはめてみます。
年数 | 未償却残高 | 定率法償却率 | 償却額 |
1年目 | 1,000,000円 | 0.4 | 400,000円(残600,000円) |
2年目 | 600,000円 | 0.4 | 240,000円(残360,000円) |
3年目 | 360,000円 | 0.4 | 144,000円(残216,000円) |
4年目(×) | 216,000円 | ||
4年目(〇) | 216,000円 | 0.5 | 108,000円(残108,000円) |
5年目 | 216,000円 | 0.5 | 107,999円(残1円) |
リース期間は法定耐用年数を基準として期間が定められている
今まで書いた事は全て現金購入した場合になりますが、リースの場合も法定耐用年数を基準として複合機のリース期間が定められています。
複合機は3年~6年の間でリースが組めます。
昔は5年のリースが一般的でしたが、最近では6年リースで契約するのが多くなってきております。
『最短のリース期間の計算の仕方』
法定耐用年数が10年以上の製品【法定耐用年数 × 60% =最短のリース期間】
上記が最短のリース期間の求め方となります。
複合機の場合、法定耐用年数が5年なので70%になります。
これを当てはめてみると5年 × 70% = 3年(正確には3.5年)となるのです。
『最長のリース期間の計算の仕方』
上記が最長のリース期間の求め方となります。
これを当てはめてみると5年 × 120% = 6年となるのです。
複合機の7年リースは良いのか?
先ほどの複合機のリース期間で3年~6年までと書きましたが、実は「ジャックスリース」「オリコリース」「アプラスリース」では、7年リースというのが組める様になってきております。
最初の方で、この法定耐用年数が決められたのが昭和40年と書きましたが、昔から比べると複合機の基本性能自体が恐ろしく向上しているので、正直5年という耐用年数は現在では全く当てはまらないのです。
その為、後発のリース会社では法定耐用年数ではなく、部品の保有義務期間である7年に合わせてリース期間を決めています。
要するに7年間は保守が確実に対応が出来、耐久性も問題がないので7年リースが可能という事なんですね。
コラム:複合機の保守期間は何年まで?【7年は最低でも保証される】
お客様のメリットとしては長ければ長い程、毎月の支払金額が下がりますので、その方が良いという方もいますが、7年リースで最初から提案してくる会社は、良い代理店とは言えないですね。
今の複合機の法定耐用年数は寿命に関係が無い?
今までご説明してきた通り、法定耐用年数は複合機の寿命と違います。
ただ、複合機の寿命は?【期間5年 or 印刷枚数300万枚って本当?】というコラムでも書きましたが、使用してからの期間が5年 or 印刷枚数300万枚に到達したぐらいが寿命と紹介している会社が多いです。
業界歴10年以上の私から見ると5年という数字は、短すぎます。
法定耐用年数を基準として5年と書いている会社が多い印象ですが、普通に使用していて7年、酷使して5年というのが私が考える寿命かなと思います。
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